子供の教育費は総額より「時期」が問題

公開日:2026年7月31日更新日:2026年8月22日著者:マサル

教育費の話は「大学まで全部公立ならいくら、私立ならいくら」という総額で語られがちです。自分もその数字を見て、なんとなく身構えていました。

ところが、老後の試算に入れて年ごとに並べると、総額だけでは家計の苦しい時期が見えません。同じ800万円でも、18年ほどに分かれて出るのか、50歳前後の4年間に固まるのかで、FIREの計算は変わります。

自分に金融の資格はありません。そこで、公表されている金額をそのまま置き、どの数字を足したのか分かる形で計算しました。

幼稚園から高校までは年いくらか

文部科学省の最新値は、令和5年度「子供の学習費調査」の訂正版です。2026年1月に訂正された資料なので、訂正前の数字とは一部違います。

1人・1年あたり 公立 私立
幼稚園 18.5万円 34.7万円
小学校 36.7万円 174.2万円
中学校 54.2万円 156.0万円
高校(全日制) 59.7万円 117.9万円

ここでいう学習費は、学校教育費、給食費、塾や習い事などの学校外活動費を合計した保護者の平均支出です。子供の食費や住居費といった普段の生活費までは入っていません。

同じ調査が学年ごとの実績を合計した15年間の総額は、すべて公立で約614.0万円、すべて私立で約1,968.9万円です。上の表は各学校種の全学年をまとめた平均年額なので、表示した数字を単純に年数倍した結果とは少しずれます。以前の記事で使っていた公立小学校33.6万円、私立小学校182.8万円は訂正後の値ではなかったため、今回直しました。

大学は「学費」と「学生生活費」を分けて見る

大学は、何を費用に含めるかで数字が大きく変わります。

文部科学省の令和7年度資料では、国立大学の標準額は授業料が年53万5,800円、入学料が28万2,000円です。標準額どおりなら初年度81万7,800円、4年間で242万5,200円。ただし、標準額を上回る授業料を設定している大学もあります。

私立大学は、令和7年度入学者の調査で初年度の平均が150万7,647円でした。授業料、入学料、施設設備費、実験実習料などを含む金額です。2年目以降も入学料以外が同額と仮定すると、4年間で約530万9,493円になります。

150万7,647円 +(150万7,647円-入学料24万365円)×3年
= 530万9,493円

これは私立全体の概算です。文系、理系、医歯系で差があり、2年目以降の納付金が初年度と同じとも限りません。

さらに、JASSOの令和6年度学生生活調査では、大学昼間部の学費と生活費の合計が国立157.7万円、私立216.0万円です。自宅生の平均180.1万円に対し、下宿・アパートなどは234.3万円で、年54.2万円の差がありました。大学費用の数字が資料によって違うのは、生活費まで数えるかどうかが一因です。

30歳で子供が生まれた場合を年表にする

親が30歳のときに子供が生まれ、幼稚園から高校まで公立、大学は国立の標準額とします。金額は今後も変わらないものとし、奨学金や授業料減免、下宿費は入れません。将来の金額を予測したものではなく、教育費が来る年齢を見るための試算です。

親の年齢 子供の段階 その年の教育費の目安
33〜35歳 公立幼稚園 年18.5万円
36〜41歳 公立小学校 年36.7万円
42〜44歳 公立中学校 年54.2万円
45〜47歳 公立高校 年59.7万円
48歳 国立大学1年 81.8万円
49〜51歳 国立大学2〜4年 年53.6万円
52歳 卒業 大学費用が終わる時期

文部科学省が学年ごとの実績を足した数字では、高校卒業まで614.0万円。国立大学4年間の242.5万円と合わせて、約856.6万円です。一方、シミュレーターは学校種別の平均年額を丸めて1年ずつ入れるため、画面上の合計は約860万円になります。3万円ほど差がありますが、使っている資料が違うわけではありません。児童手当を全額この費用に回すと仮定すれば、ここからさらに差し引けます。ただ、目を向けたいのは合計額より、大学入学が親48歳、卒業が52歳になることです。

子供が生まれたときの親の年齢 大学入学時 卒業時
28歳 46歳 50歳
30歳 48歳 52歳
33歳 51歳 55歳
35歳 53歳 57歳

資産が積み上がり、「そろそろ仕事を減らせるか」と考え始める時期に、大学の支払いが重なります。私立なら先ほどの平均で初年度約150.8万円、2年目以降も約126.7万円という試算です。

このモデルで子供が2人、3歳差なら、大学費用が出る期間は親48歳から54歳ごろまで7年続き、1年だけ重なります。国立の標準額なら、その重なる年は約135.4万円。私立平均の単純試算なら約277.5万円です。総額を18年で割った月額だけを見ていると、この山を見落とします。

児童手当と支援制度は別に確認する

こども家庭庁の児童手当Q&Aでは、第1子・第2子は3歳未満が月1万5,000円、3歳以上から高校生年代までが月1万円です。単純に3年と15年で計算すると約234万円になります。第3子以降は月3万円ですが、22歳年度末までの兄姉等のうち、親に経済的負担がある子を含めて数える制度です。実際の総額は出生月や申請時期でも変わります。

支援制度も変わっています。令和8年度から高校の就学支援金は所得制限が撤廃されました。大学では令和7年度から、扶養する子供が3人以上の多子世帯を対象に、所得制限なしで授業料と入学金を国の上限まで減免する高等教育の修学支援新制度が始まっています。

どちらも、教育にかかる全費用が無条件でゼロになる制度ではありません。対象校、扶養状況、学業要件などを確認する必要があります。何年も先の進学時に同じ制度が続くとも限らないため、この記事の試算では先に差し引きませんでした。

シミュレーターでは年ごとに差し引く

当サイトのシミュレーターは、子供の現在年齢と進学コースから教育費を1年ずつ計上し、年齢に応じた児童手当も差し引きます。就労中も教育費を引くので、退職を考える年齢と大学進学が重なる様子を資産曲線で確認できます。

入力には一つ前提があります。生活費と積立額には教育費を含めずに入力してください。 教育費は別枠で計算するため、含めると二重に差し引かれます。

また、シミュレーターの教育費は公的統計を年額に丸めた概算です。奨学金、高校・大学の授業料支援、受験料、留学費、浪人、大学院、下宿費は含めていません。自宅外通学の可能性があるなら、その分は結果に上乗せして見る必要があります。

子供の年齢と進学コースを入れて、教育費の山が何歳に来るか確認する。総額が同じでも、山の位置が違えば、仕事を減らせる年齢も変わり得ます。

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